書評格納庫
2000/1/4更新
身銭を切った本中心。書物は流通させようと思っているので、「オレ価格」に書いてある値段で「購入しても良い」と言う方は、ご連絡ください。在庫がある場合、代引きにて送付します。
『粗忽拳銃』
竹内真、集英社
1700円+税
オレ価格:同額なり。
第12回小説すばる新人賞受賞作。
前座噺家(流々亭天馬)、自主映画監督(時村和也)、貧乏役者(三川広介)、見習いライター(高杉可奈)の四人組が一丁の拳銃を拾うことから物語は始まる。だが拳銃をめぐって手に汗握るアクション大巨編が待ちかまえてると言うわけではない。青春小説、あるいはセミ・ドキュメントとでも言った方が良いだろうか。何とも、せつない気分になってくる小説なのである。「下北沢を舞台にしている」というだけで、ある種の感慨がわいてくる。栄光と挫折の歴史がシモキタにはあるのだ。松田優作が「レディ・ジェーン」の常連だった。ミニコミ「大内アパート月報」(ヴィレッジ・バンガード等で入手せよ)に見られるような長屋コミュニティのある街。大いなる飛翔の準備期間なのか、あるいは学業を終えて帰省するまでのモラトリアム期間か。この小説が、現在進行形の物語だと言うのが、個人的に好感の持てるところ。天馬のキャラクターは立川志加吾をはじめとする前座たち。時村は竹内真本人に肉付けをしたようなキャラクター設定なのだが、シモキタには、この手の「将来何事かをやったるぜ」てな手合いがゴロゴロといる。私は「ナイロン100℃」が贔屓なのだが(モンティ・パイソンが好きなもので)小劇場の劇団員なんか見ていると、つくづく、偉いよなあ、と思ってしまうし、また、なにやら元気が沸いてくるのである。
どこかで見たような人物像とお馴染みの町並みがブレンドされて実にリアリティあふれる一編となっている。本書を読んでシモキタを散歩してくるのも悪くないだろう。(2000/1/4)
(参考)竹内真ホームページ:
http://www.asahi-net.or.jp/~hi3m-tkuc/index.html
コマネチ!ビートたけし全記録
新潮文庫 705円(税別)
「新潮45」の別冊として以前出てたヤツが文庫に納まったもの。前は立ち読みで済ませたので、今回の文庫化を素直に歓迎したい。ビートたけしの通史といった趣なのだが、改めてこのおっさんの人生に「うーんむ...」と唸ってしまう。浅草の残り香と言っても陳腐で漠たる表現だが、その猥雑さ、歯に衣きせない本音のモノイイ、渥美清や深見千三郎の継承者、たけしの立つ位置、というものは、もちろん本人の努力もあるのだろうが、師匠、相棒、弟子筋、時の女神の微笑なしには語れない。メロウな部分をあまり見せないガキ大将たけしであるが、たけし軍団の証言からも読み取れるように、本質的には下町人情の見え隠れが人気の秘訣なんであろう。それはダウンタウン・松本における尼崎であり、たけしにおける下町のスパイスが効いていると言うことなんである。
しかし、一歩間違えばチンピラくずれで終わっていたであろう泡沫的な出自から今の位置にまでのしあがるサクセスストーリーには魅了される。あくまで結果論、他人の人生がオノレの人生に関係ないとはいえ、こうした逸話は市井の民にとって一服の清涼剤になるのだよ。「ここに母あり」は名著だが、さきさんの教育方法が正しかったとは言えない。さきさんを見習って和が子に教育を...てのは愚の骨頂である。現にたけしは大学時代に家を出ている。なお、本書において一番興味深いのが「これがホントの便所の落書き」の連作。これはすごい。
『嫌われ者の記』『現代エロ漫画』
塩山芳明
一水社
おれ価格:占い
中野タコシェにて購入。予想以上の罵詈雑言のあらし、あーらし、おおあーらしに圧倒されつつ、深く深く、海よりも深く、山よりも高く、感銘を受ける。南陀楼綾繁氏のミニコミ『日記日和』でも取り上げられていて、多分面白いんであろうなぁ、はよー読まにゃーアカンなーと思ってはいたのだが、まさかここまでスゴイ、強烈なもんであるとは......未読の諸兄には是非ともオススメの一冊、それが定説なんであります。野暮ちんな解説を敢えてすると、恐らく(塩)氏、「近くにいると暑苦しく遠くから眺めていると無茶苦茶面白い」という存在なんであるまいか。それは、外骨翁のキャラクターに通じるものがあるのだが。それにしてもなのである、ここまで「外骨的」な存在は恐らくあるまいと思う。富岡市市長への名指し批判は、あの名作、野口茂平イジリを連想するし、『現代エロ漫画』P75には口アングリ、素直に驚愕せずにおれない。こんなことを商業誌で展開しちまったという事実が恐ろしい。ま......こんな「誉め殺し」にゃ、アッサリと罵倒で返されちゃうわけでしょうが。遠くから見守るつーのが基本的な楽しみ方でありんすかね、しかし(塩)氏の活動範囲・蕨ってオレの地元なんだよな。丸好たまに行くし。安兵衛の前なんかいつも通ってるし。さて、レモンクラブ誌でも買いますか、ヒヒヒのヒと。
(参考)漫画屋ホームページ;
http://www.linkclub.or.jp/~mangaya/
工夫癖
久住昌之
双葉社
1500円+税
おれ価格:1000円
『小説推理』に連載されたものに加筆・訂正を加えたもの。内容としてはVOWと路上観察の系譜に位置する一冊なわけだが、個人的体験から、父の「何事にでも、つい工夫をしてしまう癖」を再発見して纏めて見せる手法の鮮やかさをまず見習いたい。このように周辺にネタは転がって居るのだろうが、つい見落としてしまうような些事を指摘して、読者に提供するのだ。オジハルさん(久住さんの父)の作品は、こうして並べて見るとオブジェ的な高級なモノのようにもみえてくる。
(参考)久住昌之ホームページ:http://www.qusumi.com/
8時だヨ!全員集合伝説
居作昌果
双葉社
1400円+税
おれ価格:これは良い本。同額。
1969年10月4日、のちに15年も続くお化け番組となる「8時だヨ!全員集合」第一回放送が放映された。同時期イギリスでは、モンティ・パイソンが10月5日に放映されている。本書は、この番組のプロデューサーであった居作昌果(いづくり・よしみ)が当時の舞台裏を振り返って、思い入れタップリに書き綴ったもの。視聴者は、単におもしろおかしく笑うだけで気楽なもんであるが、製作側の苦労は並大抵ではない。毎回凝った大掛かりな舞台で、しかも、生放送でお茶の間に笑いを提供したザ・ドリフターズ、そしてスタッフ全員に拍手したい。数々の流行語を産んだドリフの面々の織り成す人間模様も、実に興味深いものがある。加藤茶の交通事故、志村けんの数奇な運命、荒井注の脱退劇などは圧巻で、まるでドラマのような、不思議な物語となっている。会場が停電した時の番組はたまたまテレビで見ていた。「俺たちひょうきん族」が台頭してきた頃のことだった。だらけたバラエティ番組がブラウン管を占領した今となっては何もかもが懐かしい。10月13日、須原屋書店(蕨)にて購入。
光る風(上下)
山上たつひこ
ちくま文庫
オレ価格:各500円
9/22須原屋蕨店にて購入。
再読、いっき読み。天勝って「甘糟」のパロディなんだろうか。では大杉栄は何処に。後半のあっけなさは少々残念なんだが、やはり傑作であるよなあと思うし、右傾化著しい作今に読むべき一冊であろう。物語は「1984年」に連なるディストピアものなのだが、本作でバッド・テイストなのは、米国軍事介入に敵対する、カンボジアの共産勢力(として台頭した)ポル=ポト政権が、もっと残虐なことをやらかしてしまったという、歴史上の事実である。これは皮肉か。中性子をオカマと表現するのは今となっては新鮮。唐突におこる地震によって主人公がフヌケになってしまうのだが、これは、関東大震災や阪神大震災のイメージ。どんな政治的弾圧にも屈しなかった主人公が「自然の力」にだけは勝てなかった、ということなのであろうか。いやいや、そういう解釈ではなくて、本作品は日本人が抱いている「悪夢」を点描した結果出来たものなのだろう。だから、別に突然地震が起こっても気にはならない。地震とはそういうものである。物語に整合性がなくたって、山上の悪夢を描いた結果なんだからカンケーないのだ。強烈な悪夢を共有した、というだけで「光る風」の存在価値はは十分すぎるほどある。ルチ将軍(プリンプリン物語)とか、シンプソンズのキャラが出て来るのはどうして。
THE狛犬!コレクション
三遊亭円丈
立風書房
1500円+税
オレ価格:等価
奇書がすきである。本書もまぎれもなく奇書の部類に属すると思うが、これが果たして万人向けなのかどうなのかこうなのかワカラナイ。一部好事家向けの本かもしれない(でもおれとしては面白いので、おすすめではある)。狛犬を求めて日本全国を駆けめぐる三遊亭円丈の労力には恐れ入ってしまう。VOW、トマソン、路上観察学会に連なるテイスト。狛犬もこれだけ集めると迫力がある。ヘンな狛犬、笑える狛犬などもあったりして、写真を見ているだけでもじうぶんおもしろい。うちの近所にも来ているのが興味深かった(和楽備神社はウチのすぐ近く)。本書で感じるのは、写真の力は偉大だということ。狛犬が好きだといっても、実際どのへんがどーいう具合に好きなのか説明するのは困難だ。そう言う時に写真で実物を見せられると、なるほどこりゃ面白いと感じる事が出来るのである。狛犬も或意味アート、楽しみ方を知ってれば人生それだけ楽しかろう。(9/24)
ここに母あり
北野さき
角川文庫
オレ価格:あたい1000きん、菅井きん
近頃脳内をぐるぐるしているのは、「北野さき」という生き方なのである。名著『ここに母あり』(角川文庫)を再読したんですが、時代のなせるわざであるとは言え、明治・大正・昭和を生き抜いた「北野さき」という存在の大きさに感嘆せざるを得ない。母よ、あなたは強かった。以前読んだ時は、タレント・ビートたけしの親が書いた本だという事もあり、かなりいーかげんに読んでいた。改めて読み返してみると、さきさんの生き様のカッコヨサに唖然とさせられる。過酷な人生ではあるが、しかし何処かで明るい風が吹いている。明治の頑固さ、大正のモダン、昭和の激動を駆け抜ける。すさまじい。強い、女性は強い。関東大震災のくだりなど、体験した者にしかわからないであろう話の宝庫。語り口はどこかとぼけたおかしみを感じる。上野の西郷さんに「たずね人」の札がぺたぺた貼られていた逸話など、よほど印象深かったのであろう。(同趣向の逸話は外骨の『震災画報』にも掲載されている)たいへん貴重な体験談である。立ったまま焼死した警官の話など、見た者にしか語れない。また、さきさんが竹本八重子と繋がってくるあたりも、モノスゲエ面白い。「娘義太夫」がこんなところで出てくるとは。「どうする連」はいわばアイドル応援団のはしり。このへんはモノの本を読んでもらうとして、娘義太夫仕込みの「本物の芸」に、幼い頃のたけしが触れていたという風景は、下手な小説以上にドラマチックな事であると思う。(9/22)
梵雲庵雑話
著者:淡島寒月
岩波書店 岩波文庫緑159-1
800円+税
オレ価格:1200円
すんげーおもしろい。一体どこから、この本の妙味を説明すれば良いだろう。どこから手をつけて良いものやら、うーむ。なのである。「淡島寒月」という人は、1859年にうまれ1926年に没した文人で、号を梵雲庵という。本書は彼の雑話を一冊に纏めたもの。「名利を求めず趣味に生き、西鶴再評価のきっかけを作ったことで知られる」翁の多趣味に、とりあえず驚天動地の大衝撃を受ける。西鶴!また、エラくツボをついた人を再発見されたものである。もうこれだけでノックアウトなのだが、西鶴の本を求めて彷徨う探書記、これがまたとんでもねえ面白さだ。当時の古書店事情がかいま見えてくるのだ。江戸の回顧録も愉快で、まさに見てきた人しか書き得ないような筆致に圧倒されてしまう。おれが昭和という時代を翁の如く軽やかに語れるであろうか?いーや、語れないだろう。この人の語り口は、天然ボケ(?)の面白さなのである。序に露伴は語って居るではないか。「人の文は苦みて以て成る。寒月居士の文は楽みて以て成る。」まさしく翁の文体に苦渋はなく、邪心なく、稚気溢れる。楽しんで筆耕にいそしんでいる様子が伺えるあたりが、実に良い。これを当時編纂した斉藤昌三という人物もまた巨人であるし(別に本当にデカイわけではない)、題字は会津八一であったりするあたり、当時の「知のネットワーク」が伺える。
『トンデモ創世記2000』
著者 : 唐沢俊一・志水一夫
出版社 : イーハトーヴ出版
ISBN : 4-900779-42-3
本体価格 : ¥1500
おれ価格:900円
発行年月 : 1999/08
唐沢俊一×志水一夫の対談本を読んだ。非常に読み応えのあるオタク談義ではあるのだが、鼻につく部分も若干ある。唐沢・岡田バッシングの風当たりが強い、という記述には「火の無いところにケムリはたたないんじゃないの......」というつっこみを入れたくなった。バッシングの原因はただ一点、不穏当な言説、エラソーな態度に対してである。権力者を基本的に好まない一般大衆のキモチゆえにである。岡田斗司夫にもヤケに言及するのが少々鬱陶しい。確かに氏は現代日本の怪人物。畸人ではあると思う。しかし、無批判で岡田氏の言説・行動パターンを賞賛するほど、おれはオタクという存在を信用してはいない(また逆に卑下することもないと思っている)。「プチ岡田」的消費生活をして楽しいなんて、チートモ思わない。あの葡萄はすっぱい。
「噂の真相」の岡田批判文はエゲツナかったけど、基本的には「何を偉そうに!」というライターの怨みがあるのが読みとれた。少なくともライター氏よりブルジョアであるところの岡田氏に対する、やっかみ半分、でも、そりゃあどす黒い怨み節なのである。まあ、こればかりは言ってもせんなきこと。「オマエがエラソウじゃボケ」と言われれば、スマンと頭をたれるのみ。でも、たけくま氏や永山薫、大塚英志とは、どうして「そう言う結果」になったんだろうね。それを知りたいのよ、おいちゃんは。そこに何かがあると思うんよ。でも、オウム事件や阪神大震災を経験してなお「オタク自慢」で優劣を競い合おうとするウーパールーパーの連中には無批判でいられない。この事は、いずれ考えを纏めて書いてみたい。
後半、江戸時代や浮世絵やら東大やらに言及している部分で三田村鳶魚、南方熊楠らの名前があげられるのだが、外骨さんは意図的に言及しなかったんだろうか......。あまりにも「アリガチ」だから?浮世絵の存在意義を当時キッチリと見出し、東大には明治新聞雑誌文庫という財産を残した「宮武外骨」の名前が出てこないというのは、少々意外なことであった。あの文脈で言及されないというのはフシギ。唐沢さんなら「知らない」という事はないだろうしね。 (9/12)
『史上最強のオタク座談会 封印』
岡田斗司夫、田中公平、山本弘
音楽専科社
1500円+税
おれ価格:800円
オタク界をリードする三巨頭が自由奔放に「業界ねた」で盛り上がるキングギドラ的イメージの一冊。鼎談形式で全編「ヨタ話」で埋まっている。さくさく読み進む事が出来る。実質二時間ほどで読み終えた。前半はなかなか不穏で面白いのだが、「第三章」と「付録座談会」はいまいち。宮崎批判はからぶりしているし、改善点をあげてみたところで、それで宮崎アニメが良くなるとも思えない、徹頭徹尾のよた話。説教クサイのがウザッタイ、それでいて徹底して趣味に走った『紅の豚』を誉めない、というのは、論理破綻してないか?また、各章の「......徹底大研究」のアオリは少々大袈裟すぎるんじゃなかろうか。研究だったら、もっと感心するようなネタがいくらでもあるだろうに、そう言う事はあまり書いてないのがちと悲しい。資料的価値はない。例えば「照樹務」の名義はテレコムから来てるんだよ、とか、コナンがあんなところに潜んでいるよとか、そーしたモノがちょっと書いてあればとてもためになるのだが。こういう方向性のものを、「研究」というんでないのかなあ。実はそーゆーの読みたいんですけど。なお、第二版で発見した誤植は、こんなところかな。(9/12)
P26「『スターウォーズ』で実用化された「こ」、」こはいらない。
36「あるなんで」→「あるなんて」
37「戦宙船」→「潜宙船」
85ダイオージャの時代にシングルCDって存在したの?良くシランけど。
95「ウイレアムス」
118「功殻」
119「ネオアミス」
122「ドラみ」→「ドラミ」
152「HALと」→「とは」ちなみにこの見解をクラークは否定しているはず。
156「ガイッスラー」→「ガイスラッガー」
170「絶筆」→「断筆」
179解離、って乖離かな?
268「特総」→「特装」
モンティ・パイソン大全
オレ価格:2800円
須田康成・著
洋泉社
2800円+税(銀座近藤書店にて)
あー出たついに出た。嬉しいなあマッタク。などと書いてみたが、その割には「積読状態」になって久しいのは何故だろう何故かしら。教えてお爺さん教えてアルムの森の木よとオノレに問うてみると、モンティ・パイソンとの接点が最近はあまり無い、得られる情報はインターネットやパソコン通信のみだという、悲しい現実があるためではなかろうか。だって放送されてないし、ビデオは廃盤なんだし。どうやって対象にアクセスすりゃいいっつーの。とはいえ本書は手元に置いておくべき本である。何かと便利だから。鳥瞰的にモンティを知る分には本書は必携、基礎はこれで学べば良い。さらにつっこんだ「研究」となると、これはインターネット探検の旅に出るべきですな。これ売れたら他にも類書(翻訳されていない本が多すぎるのだ)が続々と出たりして。んなわけないか。でも、これ買わなくちゃ、ダメ!絶対!(倒置法)(6/12)
妄想のエキス
オレ価格:800円
長山靖生・著
洋泉社
1600円+税(銀座近藤書店にて購入)
関東大震災の時期、宮武外骨は『震災画報』を刊行し、大杉栄は甘粕に殺され、鳥居龍三は「これ幸い」とばかりに、遺跡発見のため奔走した。ウムム学者馬鹿ッ!さて本書の内容だが、エッセイと怪人物紹介という構成。人物紹介は簡潔に纏められているのですが、別冊宝島『巨人列伝』の再編集なのであった。まあオモシロイからいいんです。ここで興味深い外骨ガラミの人物としては、佐々木照山、葦原将軍あたりでしょうかね。エッセイ部分にはそこはかとないユーモアが漂い愉快至極。インターネットの電波系サイト紹介・やおいな彼女との別れを告白するあたりは、なかなか毒がありますな。思わずふふふってなもんでありやした。外骨の名は黒岩涙香の箇所にちらりと登場。さくさくと気軽に読める、良い本だと思いますね、おいちゃんは。(6/12)
日本映画に愛の鞭とロウソクを
オレ価格:400艶
快楽亭ブラック・著
版元:イーハトーヴ出版
1500円+税(高円寺ブックセンターで買った)
今日は「吉田照美のやる気まんまん」にブラック師匠が出演していたので、件の本について書く事にした。映画地獄!365日映画漬けの師匠の激闘の記録は、本を読めば一目瞭然、「スゴイ!」てなもんである。でも「さすがに「未来世紀ブラジル」の(見てないけど)テリー・ギリアムだ」てのは、どーゆー了見さね、師匠!さて、快楽亭ブラックと聞いて、オヤと感じる向きもあろと思うので概説...というのは、外骨との関連だが、これが根深い。友人同士であったのだ。外骨には兄がいるのだが、その兄・南海のガッコで教師をしていたという縁がある。また、ブラックの父、ジョン・R・ブラックも重要人物で『日新真事誌』発行人なのである!英語ペラペラの初代ブラックに対し、現代のブラックは映画べろべろといったオモムキである。しかし師匠の艶なハナシは爆笑ものなので、一度足を運んだ方が良いです、衝撃受けるから。気の弱いオンナコドモは行かないでいいよ。('99/6/11)
決定版 ルポライター事始
オレ価格:300円(入手しやすいため。また、ススメたいので)
竹中労・著
版元:ちくま文庫
6月10日購入(大宮ブックス池田)
一筋縄ではいかないんであります。これは困った、さてどこから手をつけたら良いものか。竹中節には哀愁がある。絶望、漂白、厭世観とでも言おうか。まずは大杉栄との関係についてボチボチ考えてみよう。大杉は、外骨さんは茶化してしまう存在であったようだが(下世話なアプローチでおもろい。「穴あきイズムの大杉栄」などと揶揄するのだ)、竹中にとっての精神的師匠筋にあたる。しかし自由奔放に生きた(ように見える)語学の天才・大杉に比べ、竹中節は何となく哀しく響くのだ。出来すぎた父に対するコンプレックス?それで連想するのは夢野久作だ。右翼と左翼のコントラストといった趣でオモロイやんけ。しかも、父・英太郎は夢野久作の挿絵を描いている。華やかな芸能界を闊歩しつつも自虐的な、凛とした放言の数々。時代が竹中の血肉を形成している。「お上品な連中に糞まみれの怨念を」。かっこええぜ!
雲の上から見た明治
オレ価格:1400円
横田順彌・著
版元:学陽書房
価格:1800円+税
ISBN:4-313-85089
刊行年月:1999/2
3月3日博文堂書店(新宿)にて購入。
ヨコジュンの本を買う理由、それは明治時代を扱っているからに他ならない。と書くとミもフタもない。おれの場合、ヨコジュンのSF小説よりもこういった史料的価値が少しでもあるものに食指が動いてしまう。以前より「そう」であったが、宮武外骨絡み(例によって...)の書物を渉猟するうち、明治期を扱った関連書も相当買い込む事態に陥った。これは、モハヤ一生抜け出せないビョーキのようなものである。こういうジャンルが人気あるのかどうかは疎いが、まあそこそこは売れているんじゃないのか?そんな事ないんすかね。まあどっちゃでも、良いわ。
本書のキーワードは、ヒコーキ+明治時代+快男児といったところだが、いつもヨコジュンもので驚くのが、その情報リテラシーっつうんですか、「相当読み込んでるなあ。好きだなあ」と思わせるモノが、行間から漂ってくるのである。ヨコジュン氏の場合、それは押川春浪への敬意と言うことになる。その探求力は、圧倒されてしまうものがある。このパワーの源泉は何かというと、冒頭の「SF大好き人間です」という言に集約されるんで、あろうなあ。好きこそものの上手なれと言うが、それを地で行く事はナカナカ出来ないものであり、見習いたいものである。(3/11)
(現在準備中のミニコミ用文章を転載してみました)
大江戸アウトドア
オレ価:1000円
なぎら健壱
洋泉社
1429円+税
なぎらの文体には、いかにも下町育ち的な独特の郷愁がある。こち亀の秋本治、北野たけし、「三丁目の夕日」の西岸良平らがふりかえる、例の世界だ。この世界にハマれる人にとってはなぎらの本はたいへん面白いものになる。千社札集めたくなった。(3/11)
日本フォーク私的大全
オレ価:売らない
なぎら健壱
筑摩書房
760円+税
なぎら。目撃者の視点からフォーク史を語る大変オモシロイ一冊。岡林信康は伝説のひとである。
江戸食べもの誌
オレ価:400円
興津要
朝日文庫
544円+税
江戸もの。江戸関連本も結構買い込んでます
また、また嘘八百!!!大正篇
オレ価:450円
天野祐吉
文春文庫ビジュアル版
485円+税
こういうの好きなんです。大正時代は、どうにもこうにもイイカンジですな。
こんな女に抱かれたい
オレ価:800円
テリー伊藤
KKベストセラーズ
1400円+税
さくさく読む本である。壮絶な女の生き様の一例をかいま見る事が出来る。
古本屋 月の輪書林
オレ価:まだ読んでないので売らない
高橋徹
晶文社
1900円+税
これは心して読むぞ。この店と、もう一店気になる店がある。古本文庫専門のミセなんだけど、ここがまた、壮絶なのだ。こっちの本もいずれ買う(かも)まんだらけ風雲録とか燃えて読む質なので。
楽しいつづり方教室
オレ価:売らない
塔島ひろみ
出版研
1400+税
これも特殊だけど好きなモンは好きだ。しょうがないだろう。こんなにオモロい本は滅多にないぞ。

